上手に「手を抜く」と腕はもっと自由に動くようになる

先月は足関節にフォーカスして、下肢のナチュラルポジションを深めていきましたが、4月から始まったナチュラルポジションも、ここまでで体幹、下肢、上肢のそれぞれ力みがちな筋肉を「ほぐし」、正しい「うごき」を習得するワークに取り組んできました。
ナチュラルポジションで目指すもの

ここまで、たくさんのことを学んできたので、ここで、ナチュラルポジションで目指すべきゴールについて改めてまとめてみたいと思います。
体幹=背骨を長くしなやかに動かす
体幹を鉄板のように固めるのではなく、「背骨を長くしなやかに使う」ことと「胸腔、腹腔を風船のように使う」ことでどんな体勢でも柔軟に形を変えながら安定する体幹を手に入れることが体幹部のゴールとなります。
下肢=脚を根元から動かす
「股関節に乗る」ことと「足関節を調整役として使う」ことで力みなくバランスよく立てるようになり、「仙腸関節から動かす」ことで脚をダイナミックに大きく動かせるようになることが下肢部のゴールです。
上肢=腕を根元から動かす
「胸鎖関節から動かす」ことで、下肢と体幹と上手に連携して上肢を動かせるようになることがゴールです。
- 「胸鎖関節から動かす」を詳しくおさらいしたい人はこちら
ナチュラルポジションの習得が進む=足裏に乗る感覚がつかめる
「背骨を長くしなやかに動かす」、「脚を根元から動かす」、「腕を根元から動かす」の3つが出来るようになりナチュラルポジションの習得が深まることで、立っている時や運動している時に「足裏に乗る」という感覚がつかめるようになってきます。「足裏に乗る」という感覚をつかむことができるとランニングやパドリングのパフォーマンスが飛躍的に改善されていきます。
- 「足裏に乗る」を詳しくおさらいしたい人はこちら
12月のナチュラルポジションのターゲットは「上手に手を抜く」です

さて、ナチュラルポジションの目指すべきゴールを整理したところで、12月のナチュラルポジションは「腕を根元から動かす」に影響が大きい前腕にターゲットをおいて、「上手に手を抜く」という新しいテーマに取り組んでいきたいと思います。
これまで「胸鎖関節から動かす」を通じて腕の根元から腕を自由に動かす感覚をつかんできましたが、腕の末端部分にある前腕に強い力みがあると、前腕が重りになって腕が自由に動きません。
また、前腕はスマホやキーボードを扱うことが多い昨今では、ほとんどの人が強い力みを抱えている部分でもあります。
パドリングはイメージがつきやすいと思いますが、ランニングにおいては直接運動に関わりがない部分のように思われるかもしれませんが、上記の通り、前腕に強い力みがあると、腕振りに大きな影響がでてしまいます。
「上手に手(の力)を抜いて」ランニングもパドリングもフォームの改善につなげていきましょう。
今月のターゲットとワーク
前腕

尺骨と橈骨の2つの骨から成り立っていて、手首や指先につながる筋肉の多くが2つの骨からのびている。さらに肘をまたいで上腕の筋肉は2つの骨で終わる。そのため手の力みは前腕の力みとなり、さらに腕の根本の力みにつながる。
母指球筋

スマホ操作で酷使される筋肉。固まることで手首の腱にも影響がでる。また撓側手根伸筋ともつながるため、指先から首もとまで広い範囲での力みにつながる。
橈側手根伸筋

パソコン操作で酷使される筋肉。固まることで手首と前腕の動きが制限され、筋肉同士のつながりにより間接的に肩や首の動きにも影響を与える。
「ほぐすワーク」は対象箇所の痛みやコリを感じなくなるまで、「うごきのワーク」は鏡の前でチェックしてイメージ通りに動かせるようになるまで続けてみてくださいね。