7/16(水)第1回ビブリオバトルを開催しました

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こんにちは、SEA DAYSです。
7月16日(水)に開催した、第1回SEA DAYS LIBRARY 知的書評合戦 ビブリオバトルの様子をレポートいたします。ちなみに、好評につき8月19日(火)に第2回を開催いたしますので、ご興味ある方はぜひご予約ください!

「ビブリオバトル」とは、本を通してコミュニケーションを楽しむ話題の本の書評会。自分が読んで面白いと思った本を持って集まり、本の紹介(5分)とディスカッション(3分)を行い、最後に「どの本を一番読みたくなったか?」を基準に全員で投票を行ってチャンプ本を決定します。

「ビブリオバトル」は、全国の図書館や学校などで行われ、全国的に盛り上がりをみせているのですが、SEA DAYSでは初めての開催とあって、やや不安な気持ちでスタート・・・しかし、そんな不安はすぐに吹き飛び、参加者の皆様と楽しむことができました!

今回は「SEA DAYSの本棚に置くべき一冊」をテーマに、9名の皆様に紹介したい本をご持参いただきました。チャンプ本になった一冊はSEA DAYSの本棚に置く!ということで、皆様、真剣です。さぁ、本を順番にご紹介しましょう!
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Y様
・好きな本のジャンル 何でも読みます!
・今日持参した本 『スエロは洞窟で暮らすことにした』(マーク・サンディーン・著、吉田奈緒子・訳)
友人が翻訳を手掛けた本であり、情熱を持って翻訳している姿が印象的だったため、この本を推薦。10年以上一切のお金をかせぐことも、受け取ることも、使うこともせず、アメリカ・ユタ州モアブの洞窟で暮らす男、ダニエル・スエロを追ったノンフィクション。豊かさとは何か?を考えさせる一冊です。ディスカッションが盛り上がり、大量生産・大量消費社会や貨幣システムを疑うことについてまで、話が大脱線(笑)しました。

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O様
・好きな本のジャンル ミステリー小説、新書
・好きな作家 松本清張、太宰治、湊かなえ、大江健三郎
・今日持参した本 『阪急電車』(有川浩)
週に1冊は本を読む読書家であり、電車好きの“てっちゃん”でもあるO様。大好きな本と電車の要素が一緒になった『阪急電車』は、2011年に中谷美紀、戸田恵梨香の主演で映画化されたベストセラー本であり、参加者の中でも「私も読んだことある」率が高かった本。何も考えたくない時でも読める、いい意味で“ 軽い”一冊ではあるけれど、緻密なプロットによって、電車を舞台に描かれるさまざまな人間模様に引き込まれ、作家の力量に唸る。ベストセラーって敬遠しがちですが、やっぱりおもしろいんですよね。

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T様
・好きな本のジャンル 雑食(色んなのを読みます)
・好きな作家 Lily
・今日持参した本 『Tokyo Dream』(Lily)
20代女性に人気の、1981年生まれのコラムニスト・作家のLilyのファンだと言うT様。本書は、幼少期をNYで過ごし、高校時代にはフロリダに留学した著者が、現実と夢のギャップに焦りながら、作家になる夢を叶えるまでを綴った自叙伝とのこと。自分のまわりを見回すと、20代の女性は悩んでいる人が多いとT様。「悩んでいる若い女性に読んで欲しい」ということで、推薦していただきました。
30過ぎたら女はどこか吹っ切れるし、もう悩んでも仕方ないことを学ぶものよね〜、なんてオバさんは思いつつも(すみません!)、今、本書を通して、若い頃の必死で切実だった自分を、甘酸っぱく振り返るのもオツなものかと。

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I様
・好きな本のジャンル 自然科学、社会科学系 ノンフィクションから小説まで!絵本、児童書は得意分野です
・好きな作家 宮木あや子、香月日輪、石田衣良
・今日持参した本 『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン)
幅広いジャンルを読みこなし、本に関する知識も豊富なI様。SEA DAYSの本棚を見て「なぜ、これが入っていないの?」という、SEA DAYSにありそうでなかった一冊をご推薦いただきました。アメリカでいち早く環境汚染に警鐘を鳴らした『沈黙の春』とは別の視点から、自然を慈しむことの大切さを綴る本書は、やはり名著。確かに、SEA DAYSに置くべき一冊なのであります!
「センス・オブ・ワンダー」(神秘や不思議に目を見張る感性)を育むために、子どもと一緒に探検し、自然の中で発見し感動する喜びが、やさしく語りかけるように描かれ、「この本を通して、子どもと接する時の心構えを学ぶことができるだけでなく、海辺や森、植物などの写真も美しいこの本を通して、『SEA DAYSに来てよかった』と温かい気持ちになっていただけるはず」とのこと。
実は、レイチェル・カーソンの著書はSEA DAYSにも1冊は置くつもりでいたのですが、図書係が忘れていたのです。「この本はSEA DAYSに今、置いてあってもおかしくない!」と、満場一致で意見がまとまりました。

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HANAHOU様
・好きな作家 司馬遼太郎、アルボムッレ・スマナサーラ
・今日持参した本 『Power up Your Life』(アルボムッレ・スマナサーラ)
SEA DAYSでは個展「THIS IS HANAHOU」に合わせ、オープニングライブも開催してくださったHANAHOU様。愛読書は『星の王子様』と『龍馬がゆく』。今回、ご推薦いただいたのは、日本で仏教伝道や瞑想指導に従事するスリランカ出身の僧侶で、『怒らないこと』など多数の著書を持つ、アルボムッレ・スマナサーラさんの一冊。
カウンセリングの学校で心理学を学んでいた時、考えて、悩んで、「いつもブッダ教えに行き着いた」というHANAHOU様。ブッダが説いた「カルマ(業)」を、宗教的というよりは、心の仕組みを科学的にわかりやすく解説してくれる一冊。「気持ちを楽に生きていく」方法を、心の働き、心の法則から教えてくれる本書は、現代人にとっての必読書といえるでしょう。

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K様
・好きな本のジャンル 歴史、スポーツ、インタビュー、児童文学、アート、食文化
・好きな作家 アーサー・ランサム、アーシュラ・ル・グウィン、泉鏡花、内田百閒、寺山修司、リチャード・ブローティガンetc
・今日持参した本 『into the AWA LIFE -another view of life』(著者:不明)
東京ではコピーライターとして活躍し、この春、館山に移住してこられてたK様。今回、推薦する『into the AWA LIFE -another view of life』(著者:不明)は、実は、まだこの世にないけれど、いつか自分が読みたい夢の雑誌(!)のこと。その雑誌に、寄稿されるべき文章は、どんなものなのかーー新雑誌の媒体説明をするように、K様は、今年3月に急逝したイラストレーター安西水丸氏の絵の構造について解説していきます。
いわゆる“ヘタウマ”の画風で知られる水丸さんの絵に浮かぶ一本の線。「それは彼の原風景である、千倉の海の地平線であるはずだ」とK様。幼少期を千倉で過ごした水丸氏が、村上春樹氏との共著『村上朝日堂』をはじめ、多くのエッセイ等で千倉の素晴らしさを紹介していたのは有名な話。村上春樹氏のベストセラー本『1Q84』に千倉や館山が描かれたのも、水丸氏のおかげといっても過言ではないでしょう。館山在住の春樹ファンにとって、自分の土地が春樹の小説に描かれるなんてことは、ほんと、この上なく幸せなことなのであります!
さらに、K様は、SEA DAYSのロゴを手掛けた澤さんの作品に触れ、水丸氏と澤さんの作品から共通点を見い出し、この地域の海がふたりの作家に与えた影響を美術史的な観点から語ります。「世界がどう見えているか?」というのが、このプレゼンの大事なテーマ。単なる本の紹介を超えた、K様の視点が新鮮であり、素晴らしかったです。

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F様
・好きな本のジャンル 漂流もの、海もの、生物
・好きな作家 レーチェル・カーソン
・今日持参した本 『大西洋漂流76日』(スティーヴン・キャラハン)
好きな本のジャンルとして「漂流もの」(!)をあげた、カヤック乗りのF様。確かに、漂流をテーマにしたノンフィクションや小説、たくさんありますね。
「SEA DAYSは海の楽しさを伝える場所ではあるけれど、僕はカヤック乗りだから、本当に海を楽しむためには、海の怖さを知る必要があると思う」と、説得力のあるお言葉。本書は、遭難者の90%が3日以内に死んでしまうという海難事故から奇跡の生還をとげたヨットマン、スティーヴン・キャラハン氏の手記。嵐の大西洋上で小型ヨットが沈没し、救命イカダに逃れて、手製のモリで魚を獲り、頼りない蒸留器で飲み水を確保しながら、月明かりも無い真っ暗な大海原を漂った76日間を描いています。
この本を反面教師として、海の厳しさを知ると同時に、極限状態の漂流生活を本書で追体験することで、普段の暮らしを見直し、「最低限、人間に必要なものが何か?」を考えるきっかけにもなりそうです。

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Y様
・今日持参した本 『3ヶ月でフルマラソン』金哲彦
SEA DAYSアウトドアフィットネスクラブで、ランニングプログラムに参加するY様。「経験ゼロから、マラソンにチャレンジしてみよう」と思ったのも、本書に出会ったのがきっかけ。今年、若潮マラソンでフルマラソンに挑戦する予定で、毎日練習を重ねています。「私だって経験ゼロだったし、運動したことがない方も、ゼロからフルマラソンに挑戦できる。SEA DAYSの本棚で、そういうきっかけを作れたらいいな」。Y様にご推薦いただいた通り、今後、SEA DAYSの本棚でも、ランニングの実用書を増やしていきたいと考えています。

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Y様
・好きな本のジャンル エッセイ
・今日持参した本 『生きる わたしたちの思い』(谷川俊太郎 with friends)
本日、最後のプレゼンターとなったY様が推薦するのは、mixiコミュから生まれた詩集。谷川俊太郎の詩『生きる』を手本に、みんなの「生きる」を投稿し、つないでいくという、ユニークなかたちで生まれた本です。
事前に用意したレジュメを読みながら、自分の思いを丁寧に伝えていくY様。実は最近まで詩が苦手だったそう。子どもの頃、谷川俊太郎の「朝のリレー」をお姉様が朗読しているのを聞き、子供心に「何か、気持ち悪い!」と思ったとのこと(笑)。それは、「朝のリレー」の詩が描く情景を、想像力豊かに頭に描いたから。Y様の豊かな感性が伺えます。
特にお気に入りの詩を朗読し、「詩だからといって構えず、素直な気持ちで読んでみれば、それぞれの「生きる」ことへの思いに、愛おしさを感じたり、共感したり、驚いたり、大切なことに気づかされたり・・・」「SEA DAYSでこの本を読んで、優しい気持ちになったら、帰り道に人に道を譲ったり、そのくらいの親切をしたくなるはず」、そんな、手にした人の心を潤す一冊として推薦していただきました。

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さて、投票の結果、4票を獲得し、『生きる わたしたちの思い』がチャンプ本に決定!(『into the AWA LIFE -another view of life』2票、『3ヶ月でフルマラソン』2票、『大西洋漂流76日間』1票、『スエロは洞窟で暮らすことにした』1票)

読書って、至極、個人的な行為ですから、自分の好きな本を人に説明するのって、実は照れるもの。Y様自身がこの本を読んで感じたこと、「この本が好き!」と感じた素直な気持ちを、ありのまま表現したプレゼンが高評価を得ました。
お互い好きな本を紹介し合うことで、その人の人となりが伝わり、初めて会ったのに仲良くなれる・・・そんな素敵な経験ができた夜でした。

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というわけで、今回のチャンプ本『生きる わたしたちの思い』をSEA DAYSの本棚に追加しました!どなたでも読んでいただけますので、ぜひ、この本で、心を潤してくださいね。

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