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『足関節は調整役として使う』重心から動く感覚を深めていこう

11月の「ランナー・パドラーのためのナチュラルポジション」テーマは「足関節を調整役として使う」です。

これまで、下肢については、「仙腸関節から動かす」、「股関節に乗る」の2つのポイントに触れてきましたが、3つめのポイントとして「足関節は調整役として使う」について新しく取り組みたいと思います。

すこし難しいかもしれないのですが、パドリング、ランニングともに、もとても重要なテーマなので、最後まで頑張って読んでみてください。

ナチュラルポジションを運動につなげるには?

ここまでナチュラルポジションを深めてきて、力みなく立てるようになると、足裏に乗るという感覚が少しずつわかってきたのではないかと思います。

ここで、中学校で習った物理を少しおさらいです。

 

ナチュラルポジションで立っている時、体の中を流れる力の方向は素直にまっすぐ下に向かって地面に伝わります。

そして、地面からは伝わった力と同じだけの力が反ってきます。

作用、反作用と呼ばれるもので、この2つの力が釣り合うことによって、立つということが成立します。

では、次に前に進んでいくためにはどうすればよいでしょうか?

前進するために必要な力の伝え方

もうちょっと物理の話、続きます。がんばって!

地面からは加えた力と同じ力が反ってくるので、前進するためには進む方向と反対の方向に力を加えてやる必要があります。

 

力の方向を示している線は、体の重心と地面に接している足裏を結んでいます。

つまり、前進するためには足の裏と重心の位置に傾きを作って、力の伝わる方向を変えてやればいいということで、これが先月取り組んだ「重心から動く」ということに繋がっています。

足関節の役目

先月のテーマが「重心から動く」だったので、重心から動いて運動を作っていく感覚はみなさんつかんでいただけているのではないかと思います。

それを踏まえて、足関節の役目をみていてきたいと思います。

 

パドラーのみなさんは大きな波がきて突然ボードが傾いた状況を、ランナーのみなさんは走っていて何かを踏んづけたことを想像してみてください。

あらかじめ波が来ることや、何かを踏ん付けることを予測できていれば、ある程度、体が反応してくれますが、予期せずこのような状況になった場合、以下のように体が反応します。

  1. ボードが傾いたこと、何かを踏んづけたことを足の裏の触感として認識する
  2. 触感が脳に信号を送る
  3. 脳から各筋肉に適切な反応をするように命令が発せられる
  4. 各筋肉が動きバランスをとる

この反応の過程で、足裏に一番近く、バランスをとるのに重要な役目を果す足関節に強い力みがあると、適切な反応ができず、海に落水する、もしくは転んでしまうことになってしまいます。

 

パドリングもランニングも重心から動くという感覚がとても大切ですが、重心から動くというのは程度の差はあるものの、上記のようにバランスが崩れる状態が必ず発生します。

なので、足関節が運動の調整役として十分機能していない状態だと、無意識に転倒を恐れ、重心を崩したくないと体が反応し、質の高い運動の妨げになってしまいます。

先月のワークやパドリング、ランニング中に重心から動くことが苦手だと感じている方は、『足関節を調整役として使う』にウイークポイントがあるはずです。

今月のワークに取り組んで、重心から動く気持ち良く質の高いパドリング、ランニングを身につけていきましょう。

あと、SUPでバランスをとるのが苦手だという方には、今月のワークは効果てきめんです!

さぁ、ワークに取り組もう

というわけで、今月は「足関節は調整役として使う」ための、ほぐすワーク、うごくワークに取り組んでいきます。

足関節のナチュラルポジションを進めることで、重心から動くという感覚をよりブラッシュアップしていきましょう!

今月のターゲット

足関節

 

複数の骨の集合により成り立っているため、骨のアライメントが崩れやすい。足首をまたいで足指から脛まで、広い範囲での筋肉の影響を受ける。足関節の制限は関節的に膝関節や股関節へ影響を与えるため、文字通り下半身の「土台」となる。

長腓骨筋 後脛骨筋

 

どちらの筋肉も足裏のアーチの形成と脛と足首を安定させる働きがある。弱くなると足首が不安定になったり、偏平足など足裏の変形につながる。固くなるとスネの角度のコントロールが難しくなる。