Monthly Archives: 4月 2023

鎖骨周辺の力みから胸腔の動きを解放する

4月のパドラー・ランナーのためのナチュラルポジションは「体幹のイメージを書き換える」ということで、お腹をカブトムシのように硬く固めるのではなく、風船のように使うことを学んだ上で、体幹のイメージを刷新していただいたのですが、皆さんどうだったでしょうか?

お腹に風船(腹圧)を感じることができれば、SUPもランニングも劇的にパフォーマンスが改善するとともに、怪我の予防にも非常に効果的です。

胸腔を動かすことは出来ましたか?

さて、4月のナチュラルポジションを通じて、お腹の周りの腹腔や、肋骨で囲まれる胸腔の動きを感じることが出来るようになっている方もいると思うのですが、もしかすると少し感じづらかったと言う方もいらっしゃるかもしれません。

特に、胸腔の動きが感じ取れず、肋骨って動くの?と疑問に思った方もいらっしゃったのではないかと思います。

その原因のひとつは、肋骨の上に乗っかっている鎖骨です。

このイラストを見てもらうとわかるかと思うのですが、鎖骨は肋骨の上に乗っかっているような構造になっています。

この鎖骨を動かす筋肉に強い力みがある場合、本来腕の付け根として自由に動くはずの鎖骨が固まってしまって、鎖骨と連動する肋骨の動きにも強い制限が生じてしまいます。

少しイメージしづらいかもしれないので、下の写真でご説明します。

余計わからないよと思われるかもしれませんが、、、4月は胸腔にもボールをイメージして下さいとお伝えし、しっかりワークに取り組んで下さった方は、胸腔のボール自体はちゃんと膨らんだり縮んだりできるようになっているはずです。

ただ、ボールに対して写真のように外部から力が加わっていると、どれだけ柔らかいボールでも動きづらい状態になってしまいます。

写真では、手のひらが外部からの力となっていますが、同じように鎖骨周辺の筋肉の強い力みが胸腔のボールに制限をかけている可能性があります。

なので、いくら胸腔がほぐれて動けるようになったとしても、鎖骨周辺の力みも改善されていないとイメージ通りに動かないと言うことが起こるんです。

このことはナチュラルポジションを習得していくにあたってとても重要です。一つの機能を改善したいとき、その機能は他の機能と連動しています。

なので、直接の機能を改善していくだけではなく、関連する機能にもアプローチしていくことが重要になってきます。ナチュラルポジションのクラスでは、毎月テーマを変えながら体、全体の機能を網羅できるように進めていくので、じっくり取り組んでいきましょう。

一通りの体の正しい機能が自分の中ではっきりとイメージできるようになれば、ナチュラルポジションが獲得できるとともに、劇的に動きの質が変わってくるはずです。

5月のナチュラルポジションは?

そこで、5月は引き続き、胸腔の動きの改善につながる鎖骨周辺の筋肉をほぐし、本来の機能を取り戻すことをテーマにしたいと思います。(可能であれば、4月のワークと並行して取り組んでいただくことで、腹腔、胸腔の動きがしっかり感じられるようになるので、ぜひ並行して取り組んでみて下さい。)

また、鎖骨は体幹の動きを腕に伝える重要な役割を担っていますので(これについては次回以降で詳しくご説明していきたいと思います。)、鎖骨の動きが改善すると胸腔の動きの改善とともに、腕の動きの改善にもつながります。

今月のワークでは、体幹上部と上肢付け根のナチュラルポジションの獲得が進み、

  • 柔軟に変化しながらも安定性を持った体幹の獲得(パフォーマンスの向上、故障の減少に効果抜群です!)
  • 上半身に頼ったパドリングからの卒業
  • ランニングの腕振りの改善
  • パドリング・ランニングともにお尻を使った動きの実現(なんで?と思われるかもしれませんが、体幹を通じた上肢と下肢連動性については、おいおいお話していきたいと思います。)

といった変化が現れてきますので、どうぞご期待ください。

5月も土曜日13:30からのスタジオクラスに参加いただいて、より詳しい内容を理解していただきながら、動画を参考にご自宅でもワークに取り組んでいきましょう!

今月のターゲット

鎖骨

腕の一番根元の骨で、関節として唯一胴体とつながる。腕の動きだけでなく、胸や背中、首と上半身の機能全体に影響を与えるキーマン。

胸鎖乳突筋

鎖骨と胴体をつなぐ関節につく筋肉。頭部にもつながるため、鎖骨の動きだけでなく、固まることで首や頭の動きの制限(スマホ首)にもつながる。

三角筋(全面)


鎖骨と上腕をつなぐ関節につく筋肉。鎖骨(腕の根元)が動かなくなったことで酷使されることが多い。固まることで、より鎖骨の動きを制限する負のループにハマる。

SEA DAYSメンバーになると、スタジオでクラスを受講することができるので、動画だけではわからなかったこともスッキリ解決。一緒にヨガやSUPやランニングを通じて楽しく健康を手に入れましょう!

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体幹のイメージを書き換える 〜カブトムシではなく2つの風船〜

4月のパドラー・ランナーのためのナチュラルポジションのテーマは「体幹のイメージを書き換える」です。

みなさんは体幹という言葉にどんなイメージをお持ちでしょうか?体幹という言葉はあまり聞くことがなかった言葉ですが、最近の体幹トレーニングの流行とともに一般的にも使われるようになってきました。

なので、体幹というとトレーニングという言葉をセットで想起される方も多く、良い体幹とは腹筋や背筋を鍛えて、筋肉を強く固くすることだと思ってらっしゃる方も多いのではないかと思います。

4月のナチュラルポジションでは、そういった体幹のイメージを書き換えていき、運動の質を根本から変えていきたいと思います。

正しい体幹の構造とは

力みのない自然な姿勢であるナチュラルポジションを獲得するには、体の中でも強い構造物である骨格に、立つという仕事をやってもらうことがとても重要です。

ですが、この骨格図をみてもらってもわかるようにお腹の部分には背骨が一本通っているだけで、同じ体幹部の肋骨周りと比べても前面を支える骨がなく少し不安定な感覚を覚えるのではないでしょうか?

そこで、まずはこのお腹周りがどんな構造になっているかから初めていきましょう。

お腹の周りはカブトムシ?それとも風船?

体幹トレーニングという言葉のイメージから、お腹周りについては、周辺の筋肉である腹筋や背筋を鍛えて強く固めることをイメージされる方が多いと思います。

確かにお腹の周りをカブトムシのように硬い外郭で覆われた構造にすることで非常に強い体幹を作ることができるのですが、それは外郭の形が変形しない前提でと言うことになります。

本来、体幹は運動に合わせて屈曲したり、後ろに反ったり、またはねじれたりと様々な動きを発生させるのですが、お腹をカブトムシのような硬い外郭で覆ってしまうと、その形が変化した際に強さを失ってしまい、様々な運動に柔軟に対応することができなくなってしまいます。

そこで大事になってくるのが、お腹に風船をイメージすることです。一見柔らかく不安定に見える風船ですが、しっかりと膨らませることで内から空気圧がかかり(この空気圧のことを内圧といいます。)安定した円形の構造になります。

風船は、仮に外から力がかかったり、少しねじったとしても外見の形はかわるものの、内圧は一定にかかり続け、形の変化に柔軟に対応しながら、安定性を保ち続けます。体幹はこの風船構造によって様々な運動に対応しながら柔軟に変化し安定性を保つことができるようになっているんです。

体幹には2つの風船がある

また、この内圧は呼吸によってもたらされるのですが、実は呼吸の仕組みの中心となる風船が肋骨で囲まれている胸の周りにもう1つあります。

呼吸は、胸のまわりにあるもう1つの風船が膨らむ時に大気中から空気が肺に吸い込まれ、風船がしぼむことで肺から大気中に吐き出されるという仕組みになっています。

胸周りの空間のことを胸腔、お腹周りの空間のことを腹腔と言いますが(胸腔と腹腔はナチュラルポジションで大事なワードになるのでしっかり覚えてください!)、胸腔の風船と、腹腔の風船は互いに影響を与え合い、胸腔の風船が膨らむと同時に腹腔の風船もふくらむことになります。

この胸腔と腹腔のふくらみあるいはしぼみは本来連動する運動なのですが、人によって様々なパターンが癖となって定着してしまい上手に機能しなくなっていることが大変多いです。

よくあるパターンとしては、肋骨周りの筋肉に常に強い力みが発生し胸腔が固まってしまい、腹腔だけが動いているというパターンがあったり、逆にお腹周りの筋肉がとても固く、胸腔だけが動いているというパターンがあります。また、中には、両方が固まってしまっていて、呼吸そのものにも大きな制限がかかっているような場合もあります。

4月のナチュラルポジションでは、こういった間違ったパターンを改善するために、まずは体幹の中でも胸腔にフォーカスし、ほぐしのワークでは腰方形筋、前鋸筋をほぐしていき、うごきのワークでは胸腔を構成する肋骨と背骨の正しい動きを取り戻すワークを実施していきます。

腰方形筋

横隔膜と大腰筋(腰と脚をつなげるインナーマッスル)につながる筋肉。間接的に呼吸と腹圧に影響します。

前鋸筋

肩甲骨の安定に関わる筋肉で、固くなることで前肩→猫背→胸郭の固まることにつながっていきます。また、胸郭が固くなることで呼吸に悪影響がでてきます。

ワークをしっかり実践していただくことで、運動の質が根本から変わっていき、具体的には

  • 動きの中での安定性の向上
  • 上肢と下肢の自由度が増し、大きな力を生み出すことができるようになる
  • 下肢と上肢の動きが体幹を通じてスムーズに連携でき、効率的に力を発揮することができるようになる

といった変化が現れてきます。

一般的な鍛えるというイメージとは違うアプローチになりますが、運動の質を根本的に変えるような効果が期待できますので、クラスにも積極的にご参加いただき、ご自宅でもしっかりと取り組んでいただければと思います。

SEA DAYSメンバーになると、スタジオでクラスを受講することができるので、動画だけではわからなかったこともスッキリ解決。一緒にヨガやSUPやランニングを通じて楽しく健康を手に入れましょう!

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ナチュラルポジションとは?

SEA DAYSでは10年目を迎えるにあたり、SUPでは「ナチュラルパドリング」、ランニングでは「ナチュラルランニング」と名付けた人間の体が本来持つ機能に沿った力みのない自然な運動を身につけ、皆さんにどこまでも、何歳(いつ)までも健康にSUPやランニングを楽しく続けていただくことを目指していきたいと思っています。

「ナチュラルパドリング」や「ナチュラルランニング」については、クラスの中で少しずつ皆さんとご一緒に習得していきたいと思っているのですが、今回はその基礎となる「ナチュラルポジション」についてご説明したいと思います。

ナチュラルポジションとは?

4月より「ランナー・パドラーのためのナチュラルポジション」というクラスがスタートします。

文字通り、ランナー、パドラーの皆さんにとって重要な力みのない自然な姿勢であるナチュラルポジションを習得していただくためのクラスなのですが、では力みのない自然な姿勢とはどんな姿勢でしょうか?

正しい姿勢とは、顎を引いて、胸を開いて、肩は落として脇を閉め、そして腰を伸ばす その上で、耳、肩、骨盤、くるぶしのラインが一直線になる姿勢と表現されます。これは確かに正しい姿勢ではあるのですが、この姿勢を自然にとれるかどうかがとても重要になります。

例えば、巻き肩の方がこの姿勢を取ろうとした時、肩をぐっと後ろに引きよせ無理に胸を張ることが必要になります。巻き肩自体、胸の筋肉に常に力みが生じて起こる姿勢の間違った癖ですが、良い姿勢を取ろうとして、力みに力みを重ねてしまうことになり、それは良い姿勢というよりは無理のある姿勢だと言えます。

ナチュラルポジションでは、正しい姿勢が自然に取れることがとても重要で、クラスでは、体の構造を学ぶことでこれまで染み付いてしまった姿勢の間違いに気づくことから始めて(レクチャー)、常に力みが生じている筋肉をボールでほぐし(ほぐしのワーク)、正しい動きを習得する(うごきのワーク)といった流れの中で、力みのない自然な姿勢「ナチュラルポジション」を身につけていきます。

ナチュラルポジションとSUP、ランニングの関係

SUPやランニングをされている皆さんは、SUPやランニングにとってナチュラルポジションがなぜ重要なのか感覚的に理解していただけるのではないかと思うのですが、ここではもう少し詳しく見ていきましょう。

ナチュラルポジションと怪我や痛みの関係

SUPやランニング中に特定の場所に痛みが出る方も多いと思います。普段から痛みがある方はもちろんですが、普段はなんでもないのにSUPをしたりランニングをすると痛みが出るというケースもあるかと思います。

動物が誰にも教わることなく、自由に走り回り、海を泳いだりするように、本来、人間にとってパドリングもランニングも自然に身につけることができる自由な運動だったはずです。

ただし、これは力みのない自然な姿勢が保てていることが前提になります。ランニングは「人間の体が本来持つ機能に沿った力みのない自然な運動」のはずが、先ほどの例にも出てきましたが、例えば巻き肩の人がランニングをする場合、ランニングは「肩や胸に力みのある人が本来の人間の機能に沿わない力みのある運動をしている」という表現に変わってしまいます。

日常生活を送る中で、人間の機能に沿わない力みのある運動を行ったとしても許容できているものが、SUPやランニングで運動量が増加した際に、許容範囲を超えてしまい顕在化するというのが痛みが発生する仕組みです。

SUPやランニングで痛みがあると、フォームの改善をする、関節の可動域を広げる、筋肉を鍛えるといったアプローチがとられますが、まずは力みのない自然な姿勢であるナチュラルポジションを獲得することが改善の一番の近道といえます。

ナチュラルポジションとパフォーマンスの関係

パドリングもランニングも、一番大事なことは余計な力を抜くことです。

先ほども記載した通り、巻き肩を無理に矯正すると力みに力みを重ねることになりますが、運動の中でも同じことが言え、ある動作をする場合に、動いてほしい筋肉と反対の動きをする筋肉に力みがあるとブレーキをかけながらアクセルを踏むようなもので、必要以上の力を必要とします。

トレーニングという言葉には、運動を向上させるため、動いてほしい筋肉をより鍛えて強いパワーを生み出すというイメージが強いのですが、まずは運動を阻害する筋肉の力みをとり運動の中でのブレーキをなくしていくアプローチをとる方が効率的で重要になってきます。

一流のスポーツ選手の立ち姿には、パワーと同時にしなやかさを感じますが、このしなやかさこそが力みのない自然な姿勢「ナチュラルポジション」であり、パフォーマンスの向上を求めより良い運動を求めるならば、やはり前提となる「ナチュラルポジション」の習得が必要であると言えます。

基礎となるベーシックワークをやってみよう

「パドラー・ランナーのためのナチュラルポジション」のクラスでは毎月テーマを変えながら、満遍なく体を知り、ほぐし、動かすことでナチュラルポジションを獲得していきますが、毎回ウォーミングアップを兼ねてベーシックワークと呼ばれる3つのワークを行います。

ベーシックワークは体を大きく3つに区分した時の、上肢、下肢、体幹のそれぞれのナチュラルポジションの獲得に対応しています。ご自宅でも毎月のワークと合わせて3つのベーシックワークを続けていきましょう。

本来の体の構造と動きをイメージしながら続けることで、少しずつナチュラルポジションの感覚を掴んでいけるはずです。

胸鎖関節からぶら下がるイメージの上肢

上肢とは肩から先と認識されることが多いのですが、実は胸の胸骨と鎖骨をつなぐ胸鎖関節から始まっています。胸鎖関節から先にある腕や手の力は抜いて、胸鎖関節からぶら下がり重さを感じるイメージを持てるようにしていきましょう。

また、普段の生活の中では上肢はどうしても体の前面で動かすことが多くなり前面の意識が強くなりがちですが、ぶら下がる感覚が深まってくると、肩甲骨の存在も感じられるようになり背面への意識も持てるようになっていきます。

仙腸関節から動かすイメージの下肢

下肢とは一般的には股関節から下をイメージすることが多いかもしれませんが、本来は骨盤を構成する仙腸関節から始まっています。

仙腸関節自体はほんの少ししか動かない関節ですが、股関節【から】動かすのではなく、仙腸関節を意識し、股関節【を】動かすイメージを持てるようになることで力強い動きを生み出せるようになります。

また、股関節から先は固めることなく自由に柔らかく動くイメージを持てるように取り組んでみてください。

運動ではお尻を使うことが重要だと言われますが、お尻が使えるという感覚をつかむのはなかなか難しいことかと思います。上肢のナチュラルポジション、下肢のナチュラルポジションの獲得が進むにつれて自然と獲得できるのでしっかり続けていきましょう。

2つの風船のふくらみをコントロールするイメージの体幹

体幹トレーニングが流行するにつれてカブトムシのように固い殻で覆われたものという認識を持つ方が多い体幹ですが、本来はお腹と胸に2つのふくらんだ風船を抱えるような構造になっていて、内圧がかかることで安定性と柔軟性を兼ね備える構造になっています。

体幹部は筋肉で固めるのではなく、柔らかくふくらむイメージを持つこと、また動くものであることをイメージできるようになれば運動の安定性が高まるとともに、下肢と上肢の運動を効率よくつなげることができるようになってきます。

ベーシックワークについてはクラスの中でも繰り返し取り組んでいきます。回数や取り組む時間はあまり気にせず、正しい動きををイメージしながら変化を感じることを大切に丁寧に取り組んで行きましょう!

SEA DAYSメンバーになると、スタジオでクラスを受講することができるので、動画だけではわからなかったこともスッキリ解決。一緒にヨガやSUPやランニングを通じて楽しく健康を手に入れましょう!

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